働き方改革の「9、誰でもチャンスのある教育環境の促進」の背景と助成金の関係について話をします。まずは、以下の実行計画の概要をみてください。
誰でもチャンスのある教育環境の整備とは、子供たちの誰もが、家庭の経済事情に関わらず、未来に希望を持ち、それぞれの夢に向かって頑張ることが出来る社会を創る。そのためには、公教育の質の向上とともに、誰もが希望すれば、高校にも、専修大学、大学にも進学できる機会を整えなければならない。
我が国は高等教育の斬新的な無償化を規定した国際人権規約を批准しており、財源を確保しつつ、確実に子どもたちの進学を後押しできるような高等教育の経済的負担軽減策を推進する。また、義務教育段階から学力保障のための教育環境の充実をすすめる。
一見すると、この政策は「働き方改革」と全く関係がないように見えます。「働き方改革」ではなく、「福祉政策」のようにも思えます。この政策が「働き方改革」である以上、趣旨は他にもあるのではないでしょうか。
労働には3つの課題があると言われています。働き方改革は、官民が一緒になってこれらの課題を解決するための改革です。労働に関する解決しなければならない3つの課題は、①正規と非正規な不合理な処遇の差、②長時間労働、③単線型の日本のキャリアパスです。
理解のカギは③の単線型の日本のキャリアパスについてです。終身雇用制度が残る日本型雇用は、単線型のキャリアパスにより労働の流動性が損なわれています。そこで「就職や再就職が不利にならない労働市場を創造する」、「柔軟な採用活動企業慣行として確立する」など、労働者1人ひとりのキャリア設計を実現していく必要があります。
一方、企業については、生産性向上が急務との認識が政府にあります。リスキリングという言葉を政府はよく使いますが、「リスキリング」つまり「再びスキルを習得する」という意味です。仕事で新たに必要となる知識や技術を身に着けることを奨励しています。特に、近年、企業ではデジタル技術を活用して業務の効率化を図る、技術革新などが進められています。
リスキリングは、単に社会人の学び直しではありません。個人は「学び直し」を望み、企業は「学び直し」を後押しする、だから「9、誰でもチャンスのある教育環境の促進」としてリキリングが行われ、労働者1人ひとりのキャリア設計ができ、企業は生産性向上をしていきます。
そこでリスキリングを支えるについての助成金の役割です。教育訓練等の計画に沿って実施した訓練経費や賃金に対する助成が対象です。、代表的なのは人材開発支援助成金です。例えば次のような7つのコースがあります。①人材育成支援コース(雇用被保険者・有期契約労働者)、②教育訓練休暇等付与コース(経費助成)、③建設労働者認定訓練コース、④設労働者技能実習コース、⑤障害者職業能力開発コース、⑥人への投資促進コース(IT・デジタル分野)、⑦事業展開等リスキリング支援コース。
特に事業展開等リスキリング支援コースは、2023年度新設のコースで、新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い、事業主が雇用する労働者に対して新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。中小企業は、特にDX関連の人材採用が難しいので、社内で育成する場合にはピッタリの助成金です。