働き方改革の「10、高齢者の就業促進」の高齢者雇用政策の背景と助成金の関係について話をします。
日本の高齢者は欧米諸国と比べるとかなり高い就業率で、「働けるうちはいつまでも」を含めると、70歳以上まで働きたいという人が半数以上いるのだそうです。
高年齢雇用安定法は、60歳未満の定年制を禁止しています。65歳未満定年の場合、「雇用確保措置」を義務付け、定年を65歳以上とする、定年を廃止する、希望者全員を65歳以上まで継続雇用する、の3つのいずれかを実施しなければなりません。令和2年度の「高年齢者の雇用状況」によると、この高年齢雇用確保措置の実施済み企業は99.9%です。もう制度の役割は果たしていますね。現在は、65歳定年企業は18%、66歳以上働ける制度のある企業は33%、70歳以上働ける制度のある企業は32%となっています。
働き方改革実行計画は、その取り組みを一歩進め、65歳迄の法制度は現行のままとしつつ、70歳迄の就業機会確保努力義務として打ち出しています。生涯現役・エイジレス社会の実現を目指し、政府は年齢に関わりなく働ける制度を導入する企業に対する相談指導や助成金支給などの施策を講じています。各企業も、高齢者の希望・特性に応じた活躍の選択肢を広げる取り組みを行うことが望まれます。
高年齢者の雇用に関する助成金については、①65歳超雇用促進助成金、②特定求職者雇用開発助成金・特定就職困難者コース、③高年齢労働者処遇改善促進助成金の3つがあります。一番有名な①について話をします。
①65歳超雇用促進助成金の1つ目は、65歳超継続雇用促進コースで70歳への定年の引上げ、現在70歳未満の定年の場合は定年の定めの廃止、希望者全員を66歳以上継続雇用する制度継続雇用年齢70歳以上への引上げ、他社による継続雇用制度導入です。最大支給金額は105万円です。
2つ目は高年齢者評価制度等雇用管理改善コースで高年齢者に評価制度の導入で、支給対象経費(50万円上限)×45~75%が助成金の支給金額です。
3つ目は、高年齢者無期雇用転換コースで、雇用期間が6か月以上5年以下の50代の有期契約のパートタイマーを、無期雇用に転換することで1人当たりの支給金額は48万円の支給になります。
「65歳で継続雇用の退職者が多くなった。若い人(35歳以下)を集めようと求人媒体に30万円もかけたけど誰も集まらない。確かに給与や休日の条件は良くないけどどうにかならないか。」というようなとき、今まで働いていた方も含めて、65歳以上の方の採用や継続雇用を考えてみてはいかがでしょうか?
65歳から70歳までの就業機会確保措置は、今は努力目標ですが、いずれ義務に代わる可能性が高いです。また、この制度には雇用以外の措置で70歳迄継続的に業務委託契約を締結する創業支援措置があります。その場合は、業務委託ですので社会保険料はかかりません。また、働く人にとっても、65歳以降に給料と老齢厚生年金を併給すると年金額が毎年増える在職定時改定ができました。年金の受給開始年齢を75歳に引き伸ばすこともできるようになりました。事業主の提案次第で、長年のキャリアを生かして働く意欲も湧いてくるのではないでしょうか。