働き方改革の「7、子育て介護等と仕事の両立、障害者の就労」の障害者の就労政策について背景と助成金の関係の話をします。政府の施策は、障害者等の希望や能力を活かした就労支援の実施です。
民間企業に雇用されている障害者は49.6万人で、2002年からほぼ倍増しています。企業における実雇用率は2%弱、法定雇用率の達成企業は約5割です。ハローワークにおける障碍者の職業紹介状況をみると、年間の求職件数が約20万件、就職件数が約10万件で、2007年に比べ、いずれも倍増しています。
企業には、障害者雇用促進法に基づく法定雇用率制度と、障害者の差別禁止及び合理的配慮の提供義務があります。法定雇用率制度は、1960年に創設され、企業の労働者数に応じて一定割合の障害者の雇用義務を義務付ける制度です。法定雇用率は随時見直され、現在民間企業は2.3%となっています。法定雇用率に満たない場合は、1人当たり月額5万円を納付しなければなりません。
政府は、障害者の差別禁止および合理的配慮の提供義務に対して指針を出していますが、同様に障害者雇用に対して助成金を支給しています。障害者を支援する助成金は、11種類ありますが、大きくは次の3つに分かれます。①雇入れ、②職場定着・適応教育訓練、③施設等の整備・雇用管理に関するものです。助成金の種類は以下となります。
①雇入れについては、トライアル雇用助成金には障害者トライアルコース(年間最大36万円/1人)および障害者短時間トライアルコース(年間最大24万円/1人)があります。また、特定求職者雇用開発助成金には特定就職困難者コース(年間最大240万円/1人)および発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース(年間最大120万円/1人)があります。
②職場定着・適応教育訓練については、キャリアアップ助成金の障害者正社員化コース(年間最大120万円/1人)、障害者介助等助成金(月額8千円、助成期間1年)、人材開発支援助成金の障害者職業能力開発コース(施設設置費3/4、上限5,000万円、更新1,000万円、 運営費3/4(重度障害者等4/5))、職場適応援助者助成金(1日の支援時間4時間以上:1.6万円、4時間未満8千円)
③施設等の整備・雇用管理については、障害者作業施設設置等助成金があり、作業施設等の設置設備(費用の2/3)、福祉増進を図る福祉施設等の設置(費用の2/3)。障害者介助等助成金では雇用管理に必要な介助者等の配置等(月額8千円、助成期間1年)。重度障害者等通勤対策助成金では通勤を容易にする住宅手当等の措置(費用の3/4)。重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金では多数継続雇用の事業施設等の整備(助成率2/3、特例3/4、認定5千万円、特例1億円)。
助成金は、企業にかかる一時的経済負担を軽減し、障害者の新規雇用や雇用継続を目的とします。金額が大きいのが特徴です。また、障害者雇用率が法定雇用率に満たない場合は、従業員が101人以上であれば、1人当たり月額5万円の障害者雇用納付金が取られる一方、法定基準を超えれば1人当たり2.9万円が支給されます。短時間労働者の場合であっても、従業員が101人以上は7,000円/月、100人以下は5,000円/月が支給されます。
障害者に関する制度を知らないがために、負担がかかるからという理由で採用を躊躇されているのであれば、制度を使って雇用することを検討された方がよいと思います。