働き方改革の「5、女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備」について女性活躍促進政策の背景、助成金の関係について話をします。

2021年の女性労働者力人口は2,980万人、総労働力人口に占める割合は43.4%です。女性の管理職の比率は、長期的には上昇しているものの、女性の部長相当職がいる企業は約13%、課長相当職がいる企業は約21%など、依然として少ないのが実情です。また男女間の賃金格差は、長期的には縮小傾向にありますが、2021年において、男性を100とした場合、75.2にとどまります。現在も格差は残っています。

政府は、女性のリカレント教育(広い意味での学び直し)など個人の学び直しへの支援を行っているほか、多様な女性活躍の推進、就職氷河期世代や若者の活躍に向けた支援・環境整備を行っています。特徴的なのが女性の活躍推進に向けた企業の取組支援です。女性の職業生活における活躍を一層推進するため、「女性活躍推進法」に基づき、一般事業主行動計画の策定が企業に義務付けられています。対象企業は常時雇用する労働者数が301人の事業主でしたが、現在101人以上の事業主に拡大されています。(公表義務は301人以上の一般事業主)

一般事業主はこの計画を厚生労働大臣に届け出ねばなりません。その中で必ず把握しなければならないのは、女性労働者の割合、管理職の割合、男女平均継続勤務年数とその差異、男女各月平均残業時間等の労働時間の状況です。厚生労働省は提出を受けた事業主について必要な助言を行うなどにより、法に基づく取組の実効性を確保しているといいます。

また、その行動計画の届出をした一般事業主からの申請により、取組の実施状況が優良なものであるときは「えるぼし」認定をします。この認定により企業のPRやイメージアップ、日本金融公庫の低金利融資、公共調達の加算評価などがなされます。若者雇用促進法に基づく若者の採用や育成支援の認定制度も同様の「ユースエール認定制度」を採用しています。役所は昔からアメとムチですね。

助成金では、2021年に両立支援等助成金に女性活躍推進コースがありました。しかしながら2022年には、上記の一般事業主の取組拡大が義務化されたため、その目的を果たし廃止されました。「もう義務なんだから、助成金なんて出さないよ、公表しなくても罰則規定はないけれど法令違反、わざと公表しないわけじゃないよね。」ということでしょうか。

その他、助成金では事業主による人材育成を支援する教育訓練関係の人材開発助成金や建設業の中小事業主が若年者(35歳未満)または女性を建設技能労働者等として試行雇用するトライアル雇用助成金・若年・女性建設労働者トライアルコースがありますが、特に女性活躍推進法と関係が深いわけではありません。

男女雇用均等法制定36年。女性の職場進出は進みましたが、働く女性の6割は非正規でその地位は上がっていません。政府が、女性にも男性と同じく均等に機会をあげるから、勝ち抜けというのも少し違うような気がします。しかし、女性がキチンと仕事をすることを、皆さんはすでに知っているはずです。皆さんは、その女性から生まれた子供だからです。

優秀な方に仕事を任せるという原点に立ち返って、女性を登用させてみてはどうでしょうか。登用して上手くいかなかったらそれは、山本五十六の「言ってみて、やって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」という責任者の問題ではないでしょうか。