助成金は厚生労働省の助成金だけでも80種類ほどあって、厚生労働省以外の助成金(都道府県・市町村の助成金)を含めると地域で使えるものは100を超えます。厚生労働省の助成金を大きく分けると次の7種類になります。①雇用維持関係の助成金、②再就職支援関係の助成金、③転職・再就職拡大支援関係の助成金、④雇入れ関係の助成金、⑤雇用環境整備の助成金、⑥両立支援関係の助成金、⑦人材開発関係の助成金。
つまり、事業主が、労働者の雇用を維持し、再就職入社を応援し、転職者を受入れ、入社したら雇用環境の整備をして、職業生活と家庭生活の両立を支援し、教育などの人材開発を行うまでを、行政は助成金という形で応援するということです。
助成金を支給され応援してもらったからといって行政に感謝する必要はありません。厚生労働省の助成金は、雇用保険の雇用二事業(雇用安定事業、能力開発事業)から拠出されます。この雇用二事業の資金は、雇用保険加入者である皆さんが、賃金総額の1000分の3.5~4.5を保険料として支払ったものです。助成金を申請しないと誰かに使われてしまうお金で、早い者勝ちなのです。正々堂々と支給申請しましょう。その分、生産性を上げて労働者の喜びを作り上げて行政にお返ししましょう。
主な助成金申請の流れは以下のようになります。
①計画書作成・提出
②役所対応
③計画書認定
④就業規則届出
⑤計画実行
⑥申請書作成・提出
⑦役所対応
⑧助成金支給
ほとんどの助成金は、①計画書を作成して役所に提出します。すると、②役所から計画書の内容について質問や追加書類の提出を求められます。③問題が解決されると計画書が認定され、会社に送付されます。④認定されたら、労基署に就業規則の変更届を提出して、⑤計画した内容を実行します。そして、⑥実行したら支給申請書を作成し、役所に提出します。⑦その申請書について役所から質問や追加書類の提出を求められます。⑧問題が解決されると、助成金が支給されます。ものすごく手間と時間が掛かります。初めて書類作成をすると、1日では作成できません。
助成金の申請から支給までの流れは、長いものでは1年以上かかるものもあります。また、①の計画書作成にミスがあったり、提出書類に不備があると支給されません。④の就業規則の変更届が趣旨から外れていると支給されません。⑤計画実行内容に間違いがあると支給されません。⑥申請書の内容や提出期間を間違えると支給されません。
助成金申請の難易度は、助成金の種類により異なっています。比較的受給しやすい助成金もあれば、難しいものもあります。自身の会社で申請するのもいいですが、助成金専門の社会保険労務士に相談されるのが良いと思います。