働き方改革の「4、柔軟な働き方がしやすい環境整備」の柔軟な働き方政策と背景・助成金の関係について話します。
働き方改革の中には、労働者の自主性を活かして柔軟な働き方を可能とする労働時間制度が選択制で入っています。「高度プロフェッショナル制度」「裁量労働制度」「フレックスタイム制度」です。
高度プロフェッショナル制度と裁量労働制度は、高い専門能力を持っている労働者の多様なニーズに応え、働きやすい環境を提供する制度です。労働者の裁量性を高めることによってイノベーション(事業や技術の革新)を促し、企業の競争力を高めることを目的としています。つまり国内産業の生産性向上ですね。
また、フレックスタイム制度は、対象となる労働者に制限はありません。労働者自身が日々の始業・終業時刻や労働時間の長さを決められることによって、労働者の働く意欲・モチベーションを高めるとともに、家庭と仕事の両立を図りやすくすることを目的としています。誤解しないように話をすると、いずれの制度も、労働時間規制の適用除外やみなし労働時間により、長時間働かせて残業代を支払わないことを目的とする制度ではありません。目的は効率的な働き方です。
一方、政府は労働者の働く意欲・モチベーションを高めるとともに、家庭と仕事の両立を図りやすくすることに関しては「多様な正社員等」の普及促進も行っています。短時間正社員、勤務地限定正社員、勤務限定正社員などについて、制度の概要や取り組み事例について周知を行っています。
政府は、柔軟な働き方がしやすい環境整備として、副業兼業の環境整備もしています。以前は、副業禁止の会社も多かったのですが、副業兼業を希望する方が近年増加傾向にあるため、政府も労働時間と健康管理について「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を出してルールを明確化しています。政府が副業兼業を推奨するのかと驚かれた方もいると思いますが、推奨する背景には人材不足がありますので自然な流れなのかもしれません。
また、政府は柔軟な働き方がしやすい環境整備として雇用型テレワークの普及促進なども行っています。企業等に雇用される労働者が行う「雇用型テレワーク」については、ウィズコロナ・ポストコロナの「新たな日常」、「新しい生活様式」に対応した働き方として、適切な労務管理下における良質なテレワークの導入・実施を進めていけるようガイドラインを作って周知しています。
助成金では、キャリアアップ助成金にはかつては、短時間正社員コースというものがありましたが、現在は正社員コースと合体し、有期雇用から短時間正社員への転換でも同じ額の1人当たり57万円です。また、短時間正社員の就業規則を作る場合は、9.5万円が加算になる場合があります。テレワークでは人材確保等支援助成金・テレワークコースを設けています。上限額は1企業100万円、1人20万円です。
最初、政府がなぜ柔軟な働き方がしやすい労働環境の促進にこだわるのか分かりませんでした。働く時間は従業員の裁量に任せるよ、働く時間も従業員が決めていいよ、短時間で早く上がっても正社員として認めるよ、会社に行かなくて自宅で仕事をしていていいよ、休みの日や会社が終わった後なら副業してもいいよ。あまりに自由すぎるではないですか?
皆さんは、どう思いますか。私は「新しい働き方」を否定するより、あえて認めて上げた方が、生産性の向上、失業の予防、離職率低下、出生率向上、人手不足解消、引いては社会保険料の徴収に役立つからだと思うようになりました。短時間勤務、副業、テレワークなどを認めていない会社は、企業情報の流出などに配慮した上で、離職率低下、人材育成を図るために、助成金を貰って取り組んでみてはいかがでしょうか?